月     1996年

1996月

・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・

「染め」なら、決定的に絵画と差別化しなければ意味はない。その答えとして、「防染することの必要性」、「基底素材に染み入る表現」、「布の属性である柔らかさを利用すること」を当時の私は考えた。この作品は防染材料として「ロウ」を使用した。ロウを布全面に塗り込めることでできる不均一な厚みや⻲裂を利用した染めである。「材料が与えてくれる偶然の面白い表情」はよく言われることだが、やはりこれも造形する行為には欠かせないことだと今でも思っている。パネルに貼らず、布を布として見せたいという気持ちも強かった。ただ、最後の仕上げと称して、コラージュや金箔を入れて、絵作りしてしまっているところに、腹の座っていない往生際の悪さも感じる。

・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・

H300×W210 cm(布) 
綿布、染料、顔料、金箔、銀箔/スクリーンプリント、ろうけつ染、モノタイプ、コラージュ、ドローイング、箔押しなどの混合技法 (染・清流館蔵) 

PAGE_BACK